別離
◇ ◇
一〇、
ひゅう、と吹く風が肺の中を踊る。瞬間、鼻に熱が籠って、吐く息が白くなる。中三。一五度目の冬。受験生。灰色に覆われた空を横に置いて、教室に焦凍と二人きり。
推薦入試でいち早く雄英に合格した焦凍には、残りの中学生活など消化試合でしかないのだろう。少し羨ましいな、と思い声をかける。
「受験お疲れ。どうだった?」
「ああ……。なんか建物が馬鹿デカかった。異形系への配慮なのかもしれねぇが、ドアが天井まであって……。試験会場も一つの街みてえな感じだった」
……訊いてるのそこじゃないんだけどな。苦笑をしつつ相槌を打つ。まあ、見当違いなぽやんとした回答もかわいいと思えるのだから、幼馴染という関係はなかなかに罪深い。
「……佐藤は、どこ受けるんだ?」
一瞬、己の左手を見やり、その視線をそのまま俺に向けてくる。まるで怯えたようにそっと窺うその目が、俺の欲望を刺激する。焦凍の誰かに縋るその目が、俺は誰よりも好きだった。お母さんを助けられなかった、と泣いていたあのときの焦凍そのままだ。
「俺は……ヒーローにはなれないけど、焦凍にはついててやらないといけないから。雄英行くよ」
焦凍がいないと俺の心の箍が外れそうだし。
普通科だけどね、と苦笑を返しつつ、翡翠の目を見つめる。
「じゃあ、来年も一緒にいられるな」
愛された故に傷ついた瞳に優しい火が灯る。ああ。君、そんなふうに優しく笑えるようになったんだね。泣いてばかりだった君が、誰かのために、こんなにも優しく。
春の陽のように優しい微笑みが、俺の胸を締め付ける。
――焦凍は、確実に、一歩ずつ、成長している。
目に見える事実に心の泥が沸騰するのを感じた。焦凍は、俺から離れていってしまうかもしれない、なんて。少しだけ焦ってしまったんだ。
「そうだね。焦凍は俺がいないとダメだもんな」
心の中で何度も繰り返した言葉。再度口にして、己を落ち着かせた。
焦凍は俺がいないとダメ。
再度心で呟いて、翡翠の瞳に手を伸ばす。焦凍は瞳を閉じて受け入れる。こうして俺たちは何度も何度も呪いをかけ合ってきた。
今日も明日も明後日も。何度もこうやって呪いをかける。
瞳を閉じて思う。ああ。この瞬間が、世界が、俺と焦凍だけなら良いのに。
目の淵をそっと撫で、額と額を擦り付ける。
あいつの隣は心地良い。他の奴らと違って俺の「個性」について言及しないし、さり気なく差し伸ばしてくれる手も、いつの間にか俺を越した背も、少し低くなった声も。全て。おめでたい髪の中に見えては消えるあの悲しげな瞳も。最近は、俺の前では柔らかくなってきたのも。悲しくて、嬉しい。
あいつの悲しさも嬉しさも全てが「俺」という一つの個体を肯定してくれる。その火傷の痕が。愛されすぎた証が。誰よりも臆病で優しい君が。隣にいることで俺が不幸じゃないと思えるから。君の隣は心地良い。お前が好きだよ、焦凍。ただ、箱入りのお前はぽやんとしているから見ていて心配なんだ。だから俺が、ついていてやらないと。
焦凍の右手が後頭部に回る。ひんやりとしたその手が、俺の髪を弄ぶ。
あ。手が、大きくなったな。
ただ、それだけの事実が、俺たちの年月と成長を物語っているような気がして。
成長する焦凍と闇に沈む俺。
最近の俺は少しおかしいのかもしれない。焦凍の成長を肯定できないなんて。
お願い。俺を置いて行かないで。なんて。
僅かに胸が軋む音がした。
◇ ◇
一一、
だって焦凍は俺がいないとダメじゃん。そう思って今まで生きてきた。焦凍には俺が必要なんだと、ずっと思ってきた。
体育祭最終戦トーナメント、緑谷対轟戦。だるいし、認めてないけど、俺の「個性」を活かせる場ではないからサボった体育祭。部屋で小説を書きながら、ぼやっと見ていた体育祭。焦凍に絶対に見てろ、と言われたから仕方なく、三面スクリーンの右面に映してやっている体育祭。
大きな氷の塊を作り出す焦凍と、それをボロボロになりながら破壊する緑がかった黒髪の少年。指もぼろぼろで、見ているこっちが悲鳴を上げたくなる。ヒーロー科過酷すぎるだろ。なんて思いながらモニター越しの幼馴染を眺める。
……なにかがおかしい。
心に魚の小骨が引っかかったような感覚がする。
モニターには必死になにかを叫ぶ緑谷くんと、なにかがおかしい焦凍。
……なんか、迷ってる? 怯えてる? 怒ってる?
いろんな感情が綯い交ぜになったような、まるで、俺と初めて会ったときのような、そんな雰囲気がある。俺が不幸じゃないことを実感させたその空気。今見るとひどく脆くて今すぐにでも助けてやらないといけない空気。あれ。どうして俺、会場にいないんだろう。
心の黒い水が細波を立てた。
「俺だってヒーローに……!!」。そう言った君の目には涙が浮かんでいるように見えた。
忌み嫌っていた左側を使って、己を焼いた左側を使って。
焦凍。いつかお前は「なりたい自分になって良い」って言ったよね。もうお前は、「なりたい自分」になるんだね。
赤い炎と薄青い氷が焦凍を包む。それは紛れもなく彼に与えられた「個性」たちで。彼が初めて親からもらったプレゼント。
口が歪に弧を描いて、傾いた左目から涙がこぼれるのを感じた。もう焦凍は、俺がいないとダメな焦凍じゃないんだ。自分の道を、ヒーローになる道を歩み始めた、一人の少年・轟焦凍。
口から嗚咽がこぼれて、涙と共にぐしゃぐしゃになる。焦凍。お前はもう、母を思いながら俯き悲しむ子供じゃないんだね。もう、前を向いて歩いている。立派なヒーローの卵。
涙でモニターが歪む。ダメだ、焦凍が見ろ、って言ったんだから。最後までしっかり見ないと。一人、先を行く君を。
置いて行かないで、なんてとても言えない。
己の道を行かれた嬉しさと、置いて行かれた寂しさが同居して、傾いた左目からの涙はさらに大きくなり、嗚咽のせいで喉の痛みは増してゆく。
ねえ、焦凍。君は立派なヒーローになれるよ。そしてその先にきっと、俺はいないんだね。
残酷な未来が目の前に横たわる。焦凍がいない俺なんて。
心の黒い泉の色なんてもうとっくにわからなくなっていた。
ねえ、焦凍。もうとっくに火傷の痕なんて痛くないんでしょ?
痛いのは、俺の心だ。ねえ、焦凍。痛いよ。痛い。
先を行く君に、この痛みは背負わせられないから。もう、俺たち別れよう。
さよなら焦凍。もう君に俺は必要ない。
心の泉が大きな波を立てては引き返す。色はもう、わからない。
◆ ◆
一二、
「今日会えないか?」。たった一言のメッセージを送るのに随分勇気がいった。
体育祭が終わり、お母さんと会って、俺の周りはいろいろと変わった。前よりも、着実に、心のわだかまりが少しずつ溶けていっている気がする。佐藤以外は。
体育祭以降のあいつは、いつもどこか遠くを見つめていて、返事も機械的だ。まるでこっちを見てくれない。極めつけにあいつは呼び方まで変えてきやがった。「轟くん」と。
最初におかしいと気づいたのは、LINEを未読無視し始めたこと。あいつはいつもならすぐ返事を出すし、未読し始める時期はそう宣言してくる。修羅場だとかなんとか。詳しくは教えてくれねえ。
宣言なしに始まった未読無視。最初はまた修羅場が始まったのだと思った。が、修羅場にしてはあいつは健康的な顔色をしていたし、修羅場飯の某ゼリー飲料も携帯していない。
おかしい。こいつにかつてこんな健康的な修羅場があっただろうか。
次に思ったのは校内で異様に避けられることだ。いつもなら二三言交わす言葉もなくなり、向こうがこっちの気配を察すと悲しいような、怒っているような顔をして去ってゆく。まるで大好きなおもちゃを取り上げられた子供のように。
おかしい。絶対に佐藤になんかあったんだ。俺があいつを助けてやらねえと。あいつはいつも独りで泣くから。今度は俺が、あいつの悲しみを受け止める。あいつを、助ける。
そう思って掴んだ手。振り返ったあいつはひどく怯えた顔をして。泣きそうな声でこう言った。
「……ごめん轟くん。今忙しいから」
「轟くん」ってなんだよ。目も合せずに去ってゆくあいつを追うこともできずに、俺は呆然と立ち尽くした。
あいつ、俺から離れていってねえか?
ここ最近の挙動不審な佐藤を見てそう思った。相談した緑谷もそう言ってたからそうなんだろう。
なんで俺から離れるんだよ。俺たちずっと一緒なんだろ? 離れる必要ねえよな?
体育祭で緑谷に発破かけられて左側使って、お母さんと会って、今まで会えなかった分いっぱい話して、やっと俺はスタートラインに立てた。これが俺のヒーローとしてのスタートライン。いつもお前に守られていた俺が、お前と対等の立場になる、スタートラインだ。
佐藤。俺はお前とずっと一緒にいたいから、過去と向き合うことに決めた。過去と向き合うことで、俺の未来が生まれるから。
お前は今、どこにいる?
確認したい。会いたい。一緒にいたい。衝動的な思いがどんどん膨れ上がってゆく。
「会いたい」。たった一言だけ、メッセージを送った。
◇ ◇
一三、
その素直さは、時として残酷だ。
「会いたい」。ただ一言だけ送られてきた文章が胸を締め付ける。
ヒーローとして歩み始めた焦凍。「なりたい自分」になってゆく焦凍。俺を置いて離れてゆく焦凍。隣からいなくなってしまう焦凍。そんな彼を見て、歩みを止める俺。
もう俺は必要とされていない。置いて行くれる悲しみが胸にじんわりと広がってゆく。
焦凍を放っておけないから雄英に来た。焦凍がいたから、俺は自尊心を保っていられた。
焦凍がいたから成り立った人生。焦凍がいなくなった今、俺はどこへ行けば良い?
自らの意志で歩み出した彼を止めることなんてできない。もう彼は、自分で選択できる強さを手にしているのだから。なにもできず、「自分より弱い誰か」を心の寄り処にしている俺なんて絶対に見てくれない。
もう彼は、俺の知っている「可哀そうな焦凍」ではない。
焦凍。お前、強くなったんだな。
俺はもう、お前の隣に立てない。だからもう、さよならしよう。
「良いよ。いつ会おうか」。震える手でメッセージを打つ。
心の中の泉が小さく震えて波を立てた。
◇ ◇
一四、
もはや現代日本では珍しくなった、だだっ広い日本家屋。池には錦鯉が悠然と泳いでいて、鹿威しが良い音と立ててしまいそうな、そんな家。明るく迎え入れてくれた冬美さんとは裏腹に、俺の心は沈んでゆくばかりだった。
「会いたい」。そんなこと言われたって、俺は全くもって会いたくない。ただ、一緒にいられなくなるから、別れを告げるだけ。それだけだ。
正直それだって、LINEで済ませたかった。焦凍の顔を見るのが怖くて。彼の部屋へと進む足がどんどん重くなる。
ダメだ。ダメだ。平静を装え。いつもの、焦凍に優しい俺を演じるんだ。心の中の泉が激しい波を立て、気管を通り、空気が口から吐き出される。
おえっ、と小さく嘔吐いてしまうほどに、俺は彼に会うことを拒否しているのだ。
会いたくない。会ったら、俺は見捨てられてしまう。
会いたい。会って、焦凍に別れを告げたい。一人で歩けるようになった君を祝福するために。
相反する思いが脳と心を行き通う。
俺を必要としなくなった君は、どんな顔をして俺の名を呼ぶのだろうか。
襖にそっと、手をかけた。
畳の上には机と座椅子。あと少しの本と制服。たったそれだけの閑散とした部屋。必要な物以外はなにもない部屋は、なんだか今の俺の心境を表しているようで。自嘲的に少し笑った。空っぽみたいな部屋と空っぽに近い俺。なんか俺たち、どこまでも一緒なんだな、と心で思った。
今の俺は、焦凍に縋りつきたい俺と、焦凍を送り出したい俺が二人いて。両方とも、ある意味では焦凍に執着している。焦凍があっての俺の人生。初めての進路選択の高校受験だって、焦凍がいるから決めたんだ。
焦凍がいなくなったら、俺、中身空っぽじゃない? 俺の一五年間が音を立てて崩れてゆくような気がした。
「遅かったな。なんかあったのか?」
見上げた先にある翡翠の瞳が、俺を捉えた。
「別に。大丈夫だよ」なんて、嘘をついて、俺は「焦凍が頼れる俺」を演じ始める。
……本当はね、焦凍。俺、全然大丈夫じゃないよ。もう今にも泣きそう。お前が俺を捨てるんじゃないか、って。お前に必要とされなくなったら俺、どうやって生きてゆけば良い? 俺そのものを愛してくれる人は、どこにいるの?
「体育祭準優勝おめでとう」
泣きそうになるのをこらえて、そう言うのが精一杯で。
当たり前のように隣に座るのを促す君が、今なにを考えているのかわからなくて、怖い。俺たちずっと一緒だったのに。お前のことわからなくなる日が来るとは思わなかったよ。
ああ、と短く返事をした紅白頭は、しばらく己の左手をじっと見つめて、呟くようにこう言った。
「……お母さんと話してきた」
愛されたが故に焼かれた左目を伏せるようにして。母との会話の内容や、最近のクラスでの話。例の緑谷くんの話。一つずつ、噛みしめるようにして、ゆっくりと話す焦凍は、昔と違って、柔らかな雰囲気を纏っていた。
誰よりも臆病で、傷つきやすい君はもう、そこにはいなかった。
目を伏し目がちにしながらも、時にはにかむ君は、生来の優しさを前に出した、きっと、あるべき姿だった君なんだろう。
俺がいなくても、俺じゃなくても、焦凍を柔らかい方向に導ける人がいる。そういう環境がある。例えば、体育祭の彼のような。
……やっぱりもう、俺は必要じゃないな。
優しく笑う黒曜と翡翠の瞳を見て確信する。もう別れよう。焦凍。君には俺は必要じゃない。
穏やかな気持ちと劣等感がぐしゃぐしゃになって、俺の心をかき乱す。
俺今、どんな顔して焦凍の話聞いてる? 俺は今、「焦凍にとって優しい俺」でいるだろうか。
もう、なにが正解かわからない。
「あのさ、轟くん。今日なんの話がしたかったの? 世間話につき合うほど、俺そんな暇じゃないよ」
ヒーロー科に比べたら全然かもしれないけどさ。
思ったよりも機械的で冷たい声が出たことに少し驚く。でも心の中はなぜか沸騰しそうなほど感情が渦巻いていて。ああ。今俺少し怒ってるんだな、とどこか遠くで感じた。
「……すまねえ。そんなつもりじゃなかったんだ。ただ最近お前に避けられてるような気がして、」
「別に避けてないよ。最近俺が忙しいからそう感じるだけじゃない?」
食い気味に割り込んだ声は、思ったよりも揺れていて。お願い捨てないで、と心が叫んんでいるような気がした。
「……なんだよその呼び方。お前、俺のこと、轟くんだなんて呼ぶ奴じゃねえだろ。なんでそんな……。なんかあったんだろ?」
そう言って、俯いた俺を覗き込む、その目が、肩に添えられたその手が。全てが愛おしくて憎らしい。
「変わったのはお前の方だろ。あんなに嫌ってた左側使って。お母さんにまで会いに行って」
お前はもう左側の呪縛を自分で解いたんだろ? 強すぎるその個性に縛られていたお前が、自分の力で。一人で歩き始めたお前に、個性の呪縛に囚われ、お前の心に傷に寄生する俺は必要ない。
なあ、焦凍。お前は変わったよ。もう俺なんていなくても、一人で歩ける。お前は、ヒーローになれるよ。なりたい自分に。絶対。
覗き込む焦凍の顔を右手で制す。ざら、とした感触が手に伝う。そのまま、彼の左側をそっとなぞる。
「じゃあな」
そう言って離した翡翠の瞳は、大きく見開かれて揺れていた。
轟家を出た帰り道、別れの挨拶をしたときの焦凍の顔が浮かんでは消える。
大きく見開かれた黒曜と翡翠の瞳は、信じられない、といったような顔をしていて。目がいつもより湿気を帯びていたのは、涙でも堪えていたのだろうか。
焦凍はあまりものを言わない分、瞳が雄弁だ。あのときの焦凍は、全力で、俺との別れを否定していた。
自分は一人で前へ行くくせに。
俺を置いて行くお前に俺は賛辞も、恨み言も言えるし、言ってはいけないのも知っている。俺はヒーローになるお前を否定したくないよ。でも、ずっと俺だけの可哀そうな焦凍でいてほしいんだ。ヒーローになんてなってほしくない。
相反するこの思いをお前は知らないだろ? 置いて行かないで、と泣きながら、そっと微笑んで背中を押す、バラバラな心の俺を。
ねえ、焦凍。俺はさ、焦凍のその個性故に愛され、傷を負ってしまったところが大好きで大嫌いだったんだ。個性を持っているから愛されているのに、傷ついてしまった君が。誰よりも臆病でそれでいて優しい君が。名前を呼ぶと花が咲いたような顔でこっちへ向かってくる君が。陽に透ける細やかな白髪も、夕焼けに焦がされる赤い髪も。白を際立たせる黒曜の瞳も。悲しく揺れる翡翠の目も。そのかさついた左の皮膚も。ふにふにとしていたきめ細やかな肌が、いつのまにか引き締まり、精悍な顔つきになっていっても。知らない間に俺を越した背も。低くなったその声も。優しさが空回りしてしまう、そんなところも。全部好きで、全部嫌いだ。
焦凍なんて。
家路に嗚咽が降り注いだ。
お前のことなんて大嫌いだよ。だから、お前がどうなろうとも俺には関係ない。俺を置いてゆくお前なんて嫌いだから。もう俺たちは道を別っていたんだね。
もう、火傷の痕は痛くないんだろ?
さよなら。焦凍。素敵なヒーローになってくれよ。
傾いた顔から、涙が一筋、二筋。止まることを知らず流れ続ける。
違う道を歩む君へ。ヒーローになる君へ。俺を置いてゆく君へ。大好きで大嫌いな君へ。これが最後のはなむけだ。
涙で歪むスマホの画面。必死に紡ぐ、七文字。
「さよなら。焦凍」
違う道を歩む君に、幸多からんことを。
一筋の涙が、心の泉を揺らしていった。
了